世話役、猫漫画に泣く
皆さんこんにちは。
本日は、世話役(アラフォー)が
ガチ泣きした
猫漫画を紹介いたします。
※注意:内容がかなり長くなってしまったので、どういう漫画なのか、結論が知りたい方は、目次の8。まとめへジャンプしてください。
なお、漫画レビューは全くの初めてであり、いつも以上に見苦しいこと、至らぬ部分が多いこと。
そして、
作品内容の盛大なネタバレがあることをご了承ください。
未読の方は、ここで引き返し、読了の上で進むことをオススメいたします。
目次
1.物語の冒頭
それでは、まずはタイトルから。
タイトルは、ぷれしゃす。
ジャンププラスの、読み切り作品です。
作者はえもふう先生。
下に、ツイッターの方を、埋め込ませていただきます。
どうやら、猫様を飼っておられるようです。
親近感がわきますね(笑)
さて、肝心の漫画の方ですが、こんな冒頭から始まります。
出典:ぷれしゃす えもふう より
主人公の清水イロハさんは、一人暮らしのOL。
家族は、ちょっと変な見た目と鳴き声だけど、溺愛している猫のムサシ。
しかし、ある日家に帰ると、ムサシの代わりに、見知らぬ大男が………
どうやら、この大男、そのムサシが
人間になってしまった姿
なのだそうです。
身に着けている首輪や、鳴き声や行動からも、この大男はムサシだと確信するイロハさんですが、
どうしてこんな姿に変わり果てたのか。
それが、皆目見当もつきません。
更に、この人間形態のムサシは、大男の力のまま、猫様そのもののヤンチャっぷりで暴れまわります。
猫様がお家にいる方、これがどれだけのことか、想像できますよね(笑)
あと、人間ムサシ、普通に喋ります。
イロハ「名前、言える?」
ムサシ「ムサシだ。」
出典:ぷれしゃす えもふう より
また、部屋を滅茶苦茶にした、通称「破壊神、ムサシ」に対して、
イロハ「こら!!ムサシ!!なんでこんなことするの!?」
イロハ(今は人間!今なら答えを聞けるはず)
ムサシ「………テンション?」
イロハ(しょせんは猫か………)
出典:ぷれしゃす えもふう より
などなど。
他には、朝起きたらコタツの中に潜んでいる。
出されたエサが不満で、ガンを飛ばしてくる。
多忙さからか、睡眠中、夢の中でまで仕事をしているイロハさんに乗っかってくるなど………
これらの猫様アクションを、
筋骨隆々の大男がやってくるのです。
猫様を飼った事のある者なら、夢見た人も多いだろう、もしも猫様が人間になって、コミュニケーションを取れたなら?
しかし、実際になってみると、本当に大変ですよという、割とよくあるコメディ漫画です。
………途中までは、世話役もそう思っていました。
2.イロハさんとムサシの幸せな日々
前述しましたが、このイロハさん、大変忙しいOLらしく、いつも帰りは遅く、ムサシとの時間もなかなか取れない模様。
ムサシ不満げに、会社に行くな、会社は嫌いだろうと言うのですが、
イロハ「そんなことないわよ!仕事をちゃんと評価してくれて」
イロハ「とてもやりがいを感じれる、いい会社よ!」
イロハ「だから、大っ嫌」
イロハ「………あれ?」
出典:ぷれしゃす えもふう より
己でも、よくわからないことを言ったと思いつつ、そういえば最近、ムサシとの時間がとれていんかったことに気づいたイロハさんは、今日は早く帰って、ムサシと一緒に遊ぼうと思い立ちました。。
そしてその夜。
新しいおもちゃを手に、早く帰宅したイロハさんに、
ムサシは大興奮。
ムサシのあまりの喜びっぷりにイロハさん、これからは毎日早く帰ってこようと決意します。
イロハ「よし!これから毎日早めに帰ってくるわ!」
イロハ「そしたら、いっぱい遊べるもんね!」
出典:ぷれしゃす えもふう より
次の日。
イロハさんは、早く帰ってきました。
次の日も、そのまた次の日も。
すべては、ムサシとの時間を作るために。
愛猫との幸せな時間に、イロハさんは気づいていませんでした。
己の就寝後、ひとりでに小さく開いたキャビネットから見える、「小さな何か」に。
そして、それを悲しげに見つめる、ムサシの視線に。
3.物語の真相
ある朝、いつもより身体の重いイロハさんは、またもやムサシから、会社に行くのを止められます。
いつもよりも強い圧に負けたイロハさんは、有休を取得し、ムサシとの1日を過ごすことを決意。
たくさん遊んで、たくさん触れ合い、たくさん笑った、あまりにも楽しい時間はあっという間に過ぎ去り、夕食の支度にかかるイロハさん。
ムサシの好物を買ってきたんだ。
エサと一緒に入れてあげよう。
そんなことを考えていると、突如、歪む視界。
ひとりでに近づいてくる床に、混濁する思考。
己が倒れてしまったことにも気づかず、頭を過るのは、愛しい愛猫のことばかり。
そんな飼い主を、今にも泣きだしそうな顔で、鏡の前へ連れていくムサシ。
そこに映っていたのは、
別人のように憔悴しきっていた、イロハさんの姿でした。
混乱するイロハさんへ、ムサシは小さく告げます。
ムサシ「イロハ」
ムサシ「もう………時間だ」
出典:ぷれしゃす えもふう より
そう言って、キャビネットから「小さな何か」を取り出すムサシ。
それは、他ならぬムサシ自身の、遺骨だったのです。
4.イロハさんの過去
蘇る、イロハさんの記憶。
それは、会社内で理不尽な量の業務を一方的に押し付けられ、いつしかそれが常態化してしまっていたこと。
当然、残業は増え続け、家族。
即ち、ムサシとの時間も削られてゆく。
心身に現れてくる変調も、薬で無理やり誤魔化し、仕事に没頭する日々。
イロハ「遅くなってゴメンね」
イロハ「ご飯用意するね」
イロハ「ゴメン………明日遊んであげるね………」
出典:ぷれしゃす えもふう より
ムサシは、そんな「明日」をイロハさんの傍らで、待ち続けていました。
下痢や嘔吐。
己の身体の変調にすら、気づけなくなってしまっているイロハさんと、共に過ごす「明日」を、ずっと。
その日も、イロハさんは、指導や指示などとは程遠い、ただの罵詈雑言を会社で浴びせられ続けながら、それでも遅くまで残業。
ようやく帰宅すると、そこには、泡を吹き、痙攣するムサシの姿がありました。
慌てて連れて行った動物病院で、獣医師さん曰く、症状は急性腎不全。
それも、かなり進行している、と。
そして、下痢や嘔吐の症状に心当たりはあるか、と。
最後に、もう、打つ手立てがない、とも。
場面が変わり、そこには、ムサシの遺骨を前に茫然自失のイロハさん。
そんなイロハさんのことなど、知ったことかとばかりに鳴り続ける携帯電話。
会社からでした。
この忙しい時に、有休など何事か。
お前のせいで、皆が迷惑してるんだ。
役立たず。
今すぐ来い。
でなければクビだ。
ただでさえ、ムサシを見殺しにした。
少なくとも本人はそう思い込み、自責に苛まれる中、「最後の一押し」としては充分だったのでしょう。
もう、イロハさんを支えるものはなく、その意識は崩れるように暗転していったのです。
5.ムサシが伝えたかった事
記憶とともに溢れ出す、滂沱の涙。
第一声は、ムサシへの謝罪でした。
ただただ、子供のように泣きながら、謝り続けたのです。
己の身に起きたことではなく、あくまでも愛猫ムサシのために。
そんな優しい主へ、ムサシは言います。
ムサシ「イロハが大好きだ」
ムサシ「名前を付けてくれたこと」
ムサシ「毎日いっぱい遊んでくれたこと」
ムサシ「ご飯をいっぱい食べさせてくれたこと………」
ムサシ「優しくて温かい手………」
出典:ぷれしゃす えもふう より
ムサシの大切な記憶。
そこには、いつだって飼い主が笑顔でいてくれました。
そんな飼い主から、笑顔がどんどん減っていくのを、見ていることしかできないのがが辛くて。
遊ぶ時間が減ろうとも、段々ご飯が食べれなくなってきても、心配をかけさせたくなかった。
結果、それがイロハさんを苦しめることになったのを、ムサシも悔いていたのです。
ここで、ムサシから初めて明言されますが、
この作品の世界は、イロハさんの夢の中だったのです。
そして、ムサシは、どうしてもイロハさんに言葉を伝えたくて、人間の姿で会いに来てくれたのです。
ムサシは言います。
もう、目を覚ます時間だと。
そして。
最後に、もう一度だけ、名前を呼んでくれと。
イロハさんにとってはあの時、すれ違い、掛け違い、伝えられなかった言葉。
今度こそ。
今度こそ、笑顔で伝えなければならない。
イロハさんは、涙の止まらぬ顔のまま、手を差し伸べます。
イロハ「………っ」
イロハ「ムサシ、おいで」
ムサシ「に˝ゃんっ!」
出典:ぷれしゃす えもふう より
ちょっと変な見た目と鳴き声。
そこにいたのは、あの頃と変わらぬ、猫のムサシの姿でした。
そして、ムサシにとっても、一番大好きなご主人のぬくもり。
永遠に続いてほしいと願う時間でしたが、今度は、世界が明転。
気づけば、イロハさんは、病院のベッドに横たわっていました。
傍らの母親らしき女性は、夜を徹して付き添っていたのか、目覚めたイロハさんに血相を変え、医師を呼びに走ります。
まだ意識は朦朧としているのか、ゆっくりと右手を動かすイロハさん。
その掌には、愛猫のぬくもりが、確かに、ハッキリと残っていたのでしょう。
再び、溢れ出す滂沱の涙。
それはきっと、目覚めることのできた安堵感ではなく、大切なムサシは、もう本当にどこにもいないこと。
そして、そんなムサシのおかげで、ここに戻ってこれたという、感謝の涙だったように思えます。
6.エピローグ
物語の最後、イロハさんは、会社を辞め、母親のいる実家に戻ったようです。
そこで、療養と再就職に励むのか、母親にはなるべく早く仕事を見つけ、出ていくようにする、と。
しかし、母親は、娘が無事だっただけでうれしい。
ここはあなたの家なのだから、仕事などゆっくり探せ、と。
支えてくれる人がいる。
それを嚙み締めるようにお礼を言うイロハさんに、母親は言いました。
母親「で?この子は?」
イロハ「あ、うん。向こうの部屋に。」
出典:ぷれしゃす えもふう より
この子。
もちろん、ムサシの遺影と、遺骨です。
きっと母親も、ある程度の事情を聞いたのか、ムサシを「家族」として扱ってますよね。
ラストシーンは、イロハさんが、陽だまりの中、安らかな表情でムサシへ手を合わせているシーンで幕を閉じます。
7.世話役の感想
さて、長々と来てますが最後に感想………
というか、昔の実体験からくる、世話役の言いたいことをぶちまけさせてもらいます。
まず、仕事というものは、会社のためではなく、自分や自分の大切な存在のためにするべきです。
上述した、イロハさんが言われていたようなことや、もっとえげつない仕打ちも世話役も受けたことがあります。
ブラック企業というものは、カルト教団のようなもので、人を洗脳するのが異常に上手い。
でも、やらなくちゃ。
皆に迷惑がかかる。
ここをクビになったら、行くところなんてない。
こういう思考に、誘導されるんですよね。
気づいたら、病院だったというのも、正直、他人事ではなかったため、凄く内容が刺さりました。
もしも。
もしも、この記事を読んでいる人で、イロハさんやかつての世話役のような扱いを受けている人がいたら、すぐに退職しましょう。
そうした組織は、あなたのことを何とも思ってません。
辞めるとなると、色々理由をつけて引き留めにかかりますが、無視していいです。
企業への迷惑がどうこうより、そんな企業で耐え抜いたあなたと、あなたを大切に思っている人の方がずっと大事です。
現在、世話役には、まる様にてつ様という猫様達がいます。
猫様というのは不思議なもので、世話役が弱ったり疲れていたりすると、心配から明らかに挙動が変わります。
そんな猫様達のためにも、働き方というものは常に考えていかねばならない。
この世で一番大切な宝物、まる様とてつ様のために生きようと、そう改めて誓わせてくれる、素晴らしい漫画だったと思います。
8.まとめ
長々と書いてきましたが、短くギュッと纏めると、
ブラック企業経験のある、猫大好き人間には、高確率で受ける作品だったと思います。